2017年9月29日金曜日

泣く子供 ドラクエの効果



 6回目の抗がん剤も終わり、あと2回。

 息子の精神状態はまだ安定しておらず、時々3歳くらいでやめていたマミーという言葉で私を呼んだりしていた。

大泣きしながら「マミーマミー」と声を限りに叫ぶ。

 頭の中の映像は(お墓の前で最高なママだったといって泣いているところ)だという。 

 それから

「真っ暗の中をママがどんどん小さく遠くに行って消えちゃうの」といつも言う。


 その話を聞いて紙にその絵を描いて破らせた。 

 「ほらー、もうなくなっちゃったよ」

 「それは絵だから……」

 「じゃあ目の前のママを見て!すごく元気でしょう?」と変な顔をする。

 ちょっとだけ笑う息子。

 どうしたら気持を楽にしてあげられるだろうか。



 
 病院で小さい子供に抗がん剤の説明をしていた。 

 お母さんの乳がんの話
 
 抗がん剤って何?どんな薬? 

 そして抗がん剤をする部屋を見せてくれたのだが、逆効果だったような気がする。


 渡された絵本もお母さんが抗がん剤をして髪の毛が抜ける話だった。

 頼まれて何回か読んだのだが、あまり効果はなかったような気がする。

 ある日また突然の号泣が始まったときに


 「あのね、抗がん剤はね、すっごく強い武器なんだよ、ラスボスなんてすぐやっつけちゃうバトルアックスなんだよ!
と当時2人でやっていたドラクエの中の武器の名前を使った。

 「え!そうなの? 強い武器なの? でも、がんも武器持ってる?どんな武器?」と聞くので、間髪入れずに


 「こんぼう!」


 一番弱い武器の名前を言ったら、はじめて晴れ晴れと笑った。








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