2017年9月29日金曜日

辛い抗がん剤の副作用中に帰ってきた夫と息子


 抗癌剤も3回めになると副作用が強く出てくる。体に蓄積されていくのだろうか?


 一番きついのは疲労感だ。 ベッドに横になっているだけなのにマラソンの後のような激しい疲労感。 それがしばらく続いて、その間は何も出来ない。

 まぶたを開けるのさえ、あまりにも疲れて出来ないことがあった。 

 私は幸い吐き気は薬でかなり抑えられた。 人によって副作用がひどく違う。こんなにも目も開けられないほど疲れていて何も出来ないのに、生きているといえるんだろうかなんて思ったことさえあった。

 それからお腹にする注射も抗癌剤の後10本なのでこの時までに30本打った。 

 もう手も震えない。

 早く元気になりたいと毎日それしか考えられなかった。
抗癌剤で体力が落ちているときは落ち込むことも多かった。

 いつまでこんなことが続くんだろうか。このACという薬は後1回。だけどそれからタキソールという違う抗がん剤がまたある。 

 うんざりして元気のない日々だったが、2週間ぶりにやっと夫と息子が帰ってきた!
すごくすごくうれしい。 

 「ただいま!今建物のそばだよ」と電話がかかった。

 慌てて外まで出てみると2人がスーツケースのそばでニコニコしていた。
息子は一回り大きくなっていた。いきなり少年という感じになっていた。駆け寄ってきてハグをする。背が急に伸びたような感じだった。

 「見て~!下の歯が抜けたんだよ」とぴょんぴょんと飛びながら見せてくれるところは、前と変わらない。

「トゥースフェリー(アメリカで歯が抜けるとやってきてお金を枕の下に入れてくれる妖精)も来たんだよ!」と大喜びだ。

 大きくなったとは言え、まだまだサンタクロースもトゥースフェリーも信じているのだ。

 夫もすごく嬉しそうだ。会いたかったとハグを何度もして喜び合う。

 一緒に部屋に戻りスーツケースを開けると食品とそれから女性誌やファッション誌がたくさん出てきた。 夫が日本の本屋で大量にファッション雑誌を選んで買ってくれているところを想像してクスッと笑った。 

 「わ!本当にありがとう!すごく嬉しい!!美容雑誌まで!」と言うと

 I know you (君のことは知ってるんだよ)と笑う。

 本当に会いたかった。

 帰ってきてくれてすごく嬉しい。具合は悪かったけど、気持ちは最高にハッピーだった。

 夜、夫と話し合う。気持ちを吐き出して、聞いてもらってすっきりした。いつも力になって励ましてくれる。 素晴らしい夫を誇りに思う。 

 抗がん剤治療から一週間ほどで外に出たり普通のことができるようになるので、食品を買い出しに行く。 冷蔵庫を一杯にした。

 (普通)がどれほど幸せなことなのかわかっていなかった。 

 何も出来ない数日間は本当に辛い。一週間たち十日たち、やっと普通に歩けたり家事ができる。 そして数日後また抗がん剤だ。 本当に嫌だ。 時々わーっと泣き出したくなる。

 それから、ここも借りの施設なので後数ヶ月は住むのかと憂鬱になる。

 母が来てどこにも連れて行けなかったのでアラモアナに行ってみる。皆でレストランで食事をして、笑いながら話をした。


 そういう普通のことがとてもとても幸せだった。 

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