2017年9月29日金曜日

退院して初めて胸の傷を見る


 手術から数日後、病院ではじめて傷の検査をする。包帯をとって傷痕をはじめて見た。

 
 わかってはいた。

 わかってはいたけれど、あまりにもショックだった。

 胸があったところは脇の下まで長い傷跡が残り腫れている。黒い糸で縫われている。

 まっすぐに切れているだけかと思ったら、傷の上と下がすごく腫れている。特に上の部分の皮膚がボコボコだ。これは後で聞いたのだが再建を考えてできるだけ筋肉を残したのだという。

 よく(開いてみたら、かなり悪かった)とドラマや映画であるとおり、私の乳がんは4箇所あり、脇の下のリンパ線にもいくつも転移していて、さらに良くないとされている胸の中のリンパにも流れていた。

 胸骨すれすれにもあり、さらに全部は取り切れなかったのだと聞いた。それでも昔の大胸筋までとってしまう(ハルステッド法)という手術は手術跡がとてもひどく、なるべく筋肉を残してくれようとしたそうだ。


 真っ赤になっている傷はまだズキズキと痛む。下のチューブ用の2つの穴もすごく痛い。

 それから一面に塗られた黄色の消毒剤、赤い傷跡、内出血の青色。黒い縫い糸。ものすごい色だ。これほどひどいと思っていなかった。

 自分の傷跡を見られない人もいるという。 それでも私は辛いけれど、目をつぶる訳にはいかない。

 しっかり見つめて、病気と向きあおうと思った。


 それでもやはり涙がいつまでも止まらなかった。

 


 それにしても、こんなにも凹凸がありで縫い目も汚いのは想定外だった。

 この日、胸のあった場所の下からぶら下がっている体液排出用のチューブ2本を抜いた。

 
 これがものすごい激痛だった。

 今まで経験したことのない痛みだった。歯を抜くよりも、出産よりも痛かった。

 抜いた瞬間汗が吹き出す。ぐったりして大泣きした。

 長い針金を体内からズルズルと抜き出すような感じか。2本めが本当に辛かった。もう一回あの痛みを経験するのかと思うと倒れそうだった。

 なぜこれほど痛かったのか後からわかった。細菌感染をしていたのだ。

 指先でさえ傷口に菌が入ると赤くなりズキズキして痛むのに、かなり大きめの胸の穴2つだ。そこから長いチューブを引き出すのだから、痛いはずであった。 

 その夜、高熱がでた。 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿